生涯一放射線科医の日記

~昭和・平成・そして令和~

放射線科に追い風が吹いている 

放射線科に追い風が吹いている。

NHKの夜の番組で、人間ドックの話があった。

有吉のお金発見 突撃!カネオくん 「“忘れ物”にまつわるお金事情に迫る!」(2019-5-18)

人間ドックでは、胸部単純写真やCT.MRI,さらに胃透視画像など画像検査が多い。そのため、その施設では画像を専門にみる画像診断医がおりCTやMRIを毎日1万枚も読んでいると、画像診断医が紹介されれていた。AIで有名な放射線科医の慈恵医大中田典生先生が出演しており、今年からAIを使うことができるようになり、さらに読影精度があがるようになると話していた。

ここのところ、フジテレビの看板ドラマ月曜9時枠での「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」の視聴率もいいらしい。

www.fujitv.co.jp

 

放送局は忘れたが、「5月8日放送あいつ今何してる」のなかで「近藤サトさんの友人放射線診断医である佐々木真由美医師の仕事が紹介されていた。彼女の婚約者であった30代で亡くなった放射線科医は自分で自分のスキルス胃がんを診断したとのことだ。自分で自分の画像を診断するのは辛い。

等々、最近放射線診断医の話題をマスコミで見ることが多い気がする。

放射線科医は「影で仕事している」。私も若い時「最終責任は主治医だから、私たちがなんとレポートしても大丈夫だ。鑑別診断をいっぱい書いておけば問題ない」なんて、無責任な思いをしたこともあった。患者さんから見えないところで仕事して、役に立てば「私たちは縁の下の力持ち、Doctors' doctorなんだ」と自負し、誤診していても「主治医がちゃんと全体を考えないからだ」と言い訳を考える。表にでない、訴えられることのないinvisible doctorであることが幸せだと思っていた。

しかし、放射線科医としてのプライドはどうだろうか。一人の医師として、他科の医師達と同じ立場でプロフェッショナルとして仕事するには、やはり仕事に責任を持つ、責任を取るべきである。「画像診断は○○先生によるものです」といわれて画像診断の責任をとる、専門科受診と同じ扱いになるのが理想ではないだろうか。アメリカでは放射線診断医のレポートのない画像診断は裁判では負ける。画像診断医が裁判で訴えられることが多いと聞く(思っているほど多くはないようだが)。放射線科医が診療の前線に、目に見えるところにいる。これこそが、責任とプライドを持って仕事する医師としての姿ではないかと思う。Invisible doctorからGG (Ground glass:すりガラス) doctor、そしてVisible doctorになりたいものである。