生涯一放射線科医の日記

~昭和・平成・そして令和~

デジタルデバイドとAIデバイド

AI(人工知能)による画像診断が放射線科医にとって代わるかどうかは、放射線科医にとって大いに気になるところである。まあ、私のような年寄りには関係ないことかもしれないが・・・。

少し前までは、今後はAIによる診断で放射線診断医はいらなくなるといわれ、放射線科入局希望者が減少したようだ。しかし、最近ではAIを放射線科医が利用して、放射線科医の仕事の効率化、より精度の高い画像診断を行うことができる、放射線科医の働き方改革になるといわれるようになっている。

最新のJCRニュース(日本放射線科専門医会・医会ニュース)に「AI(人工知能)から見る放射線科医の未来」の特集があった。また医事新報No.4965 2019.6.22号に「AIの出現が放射線診断医の将来に及ぼす影響について」の質問に対して、東北大学高瀬圭先生のコメントがあった。前者の記事の中には「今後はAI対放射線科医という図式ではなく、AIを使う放射線科医と使わない放射線科医の格差が問題になりそうである」、後者では「AIの登場によりさらに高度化する画像診断を、名馬を操る騎手のごとくに使いこなす放射線診断医が求められます。AI+放射線科医でさらに強力な画像診断が展開される時代が到来しますが、反面、通り一遍のレポートを記載するだけの放射線科医やAIを使いこなせない放射線科医は成り立たなくなるでしょう」との記載があった。

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これからの時代さらにITに強くないと生きていけなくなる・・・

パソコンが出始めたころデジタルディバイドという言葉が流行った。コンピュータを使えるか使えないかで差がついてしまうということである。最近はあまり話題にされることはないが、やはりあきらかにあると思う。ネットをうまく使いこなす若者と、ネットが使えずいらいらして切れる年寄りがいる。

放射線科のなかでも、読影端末を使いこなし、要領よく手早く読影する者と、手際が悪い、ショートカットがうまく使えない者ではあきらかに仕事量の差がでる。さっさと仕事を終えて帰宅するものと、端末がうまく使えず時間がかかってしまう者がいる。学会発表、論文書きでもそうである。パソコン、ネットをうまくつかえるかどうかで、差がついてしまう。大変な世の中だなと思う。